【IRONMAN 掲載記事】 “まさにダイヤモンド・カーフ!! ”ロジャー・スチュワート
ロジャーは、「カーフ=ロジャー・スチュワート」、「ロジャーといえばカーフ」と言うように「カーフ」で有名な選手です。プロ・ボディビルダーにはなっていないのですが、「カーフ一筋」で生計が立つほどに「プロとして成り立っている人物」です。
最初に目に飛び込んで来るのはやはり大腿部でしょう。非常に充実した大腿部分をしていますが、それを引き立たせているのが「カーフの大きさ」でもあるのかなと感じます。「カーフ」というのは、ボディビルダーにとって非常に悩ましい部位と言えるのではないでしょうか。「遺伝的要素が非常に大きい部位」と言われているのが、その理由です。大腿部の形などは年月を掛けて努力すると、ある程度は自分の望む通りに変化させることも可能な部位だと思います。
それは、トレーニングでのアプローチだったり、頻度や強度などですが、それに伴って外側を強くしたり、内側をつけたりなど、ある程度は変化させられます。それが故にボディビルディングを「ボディメイキング」などとも呼ぶ場合があります。
しかしながら「上腕二頭筋=バイセップスのピーク」だったり「上腕三頭筋=トライセプスの(特に長頭の)長さ」などは「生まれ持ったもの」が影響し「変えられないもの」という説が主流です。「カーフ」という部位も、そのように言われて久しいのではないでしょうか。
筋発達や運動能力に長けていると言われる黒人にとっても「弱点」と言われているのが「カーフ」です。オリンピアで8連覇を成し遂げた、リーヘイニーも、「あくまで他の部位に比べて」という意味合いにおいて、「カーフ」は弱点であったし、ロニー・コールマン然りでした。黒人全員、もれなくそうかというと、そういうことには必ず例外があるように、ショーン・レイは大きなカーフをしていましたね。
「カーフ」を語るときに、もうひとつ多いのが「発達しづらい」というものがあるかと思います。大胸筋、広背筋、大腿四頭筋などに比べて、明らかに伸びしろが小さいせいもあるでしょうから、全く何もしていなかったときに比べれば「発達の度合い」というのも感じられるのかもしれませんが、ある程度の年数を過ごして来たベテラントレーニーにしてみると「これ以上発達が望めない部位」としておざなりにしている人もいるのではないでしょうか。
ロジャーは素晴らしい形のカーフをしていますが、彼のカーフを創り上げたのが、ロジャーの販売している「カーフマスター」でしょうか。あのカーフを持った人物が「これでトレーニングすればこうなるよ!」と言えば、かなりの説得力があるでしょう。
実普通の足を乗せる台などに比べると、ふくらはぎの伸びがハンパないです。滑り止めのヤスリ状の部分はしっかりと靴を掴んで離さず、カーフのトレーニングをするには最適という感覚です。
ロジャーはプロ・ボディビルダーにはなりませんでしたが、1996年からの2年間、マイケル・オハーンなどと一緒に「バイパー」という名前でアメリカン・グラディエイターにも出演して人気を博しました。また、2001年からは、自身の会社を立ち上げて世界を相手に商売をしているようです。
人生は、目標や目的を持って頑張ればそこへ近づける、カーフも日々精進すれば大きくすることができる。改めてそんなことを感じました。
<IRONMAN 2021年5月号掲載 「Click-Click 」記事より>
【岡部 みつる(オカベ ミツル)】
東京都出身。昭和の終焉に渡米。'93年、米マスキュラーデベロップメント誌のチーフフォトグラファーに。以後、アイアンマン、マッスルマグ、フレックス等各誌に写真を提供。'96年にはMOCVIDEOを設立、コールマン、カトラー等オリンピア級選手のビデオ、約50本を制作。
※ Click・Click/クリック・クリック クリックの元の意はカチッていう音、シャッターを切る時の音。カシャ!「 おい!そこのカメラ小僧!」的な意味合い。